古市幸雄「1日30分を続けなさい!人生勝利の勉強法55」
人生に勝利したかったので表記の本を読んだ
1日30分とか言うから嬉々として読んだのに
不精・ものぐさ・横着者なので手っ取り早く勝利したくカタログから本著をDLしたわけだが、
まえがきから溢れる著者のデキるアピールがヤバイ
「(筆者が留学し)1日12時間以上勉強するのは当たり前だった」
おまけに
「ビジネスの世界で役に立たなくなってしまった責任は、全てあなたにあります」
とか言われる
(タイトルにまんまとつられマーケティングに敗北したか……)と半ば諦めで読み進めていった
私はチケットを買った映画が開始15分でどんなクソつまらない映画だと直感しても元を取りたく席に座り続けるタイプの客である
「勉強」は学習に限らず
タイトルの「勉強法」というのは、著者曰く資格勉強やビジネスパースンとして高みを目指すためのキャリアアップのそれとかではない
単なる読書も勉強に入るそう
人間としてレベルアップできるようなことは何でもかんでも勉強とみなして良いそうだ
そう言われ序盤で肩を落としていた私としてはようやくホッとしたわけである
でも、
「本は入浴中も読む」
「シワシワになっても良い」
「本は消耗品」
にはエッとならざるを得なかった
売れない……
一度の学習量よりも継続できるか
筆者曰く、普段より学習の習慣がない人が1日何時間も学習したところで苦痛になって三日坊主になるのが関の山 それなら1日30分を繰り返せ というのが一番の学習法らしい
助かる
まえがきで敬遠してごめんね
1日30分と課したなら三日坊主になりかけても5日目で再開する可能性が高いしね、という感じである
ここら辺で「ああ、この本はマジで勉強する習慣がない人向けのハウトゥ本なんだな」と筆者を信頼しつつあった
身銭を切れ
あんまり本の内容をダラダラ引用するのは好きじゃないのだけど、このキーワードはなるほどねと思ったので紹介する
今まで読んできた自己啓発、勉強のハウトゥ本は「どんな教材でもいい」「金をかけずともレベルアップは可能」みたいなスタンスだったので、存外新鮮だった
「金をかければかけるほど元を取ろうと頑張るでしょ」という人間のセコさを逆手に取った技である
確かに前述した映画館のたとえ話で、私とおんなじ行動をとるようなけち臭い人間には向いている
途中からなぜか英語の勉強本に
突然「自分で発音できない音は聞き取れないからリスニングの前に発音を鍛えろ」みたいな話になって再度エッとなる
英語の不得意な日本人が大多数だろうから、万人向けの勉強本に載っててもおかしくはないけども
細かくページ数を分析したわけではないけど本著の3、4割くらいは英語の学習法について書いてある
できなくはない
というのが所感 なにせ1日30分だしね
具体的にこまごま、55個のやり方が書いてあるので吟味しつつできることはマネて無理なら無視してを繰り返すのがよろしいかと
江戸川乱歩「黒蜥蜴」
高校生か中学生の頃ぶりに再読した
やっっぱ江戸川乱歩、最高である 神 ゴッド ゴッデス イエイ
女盗賊
いやいやいや……、女盗賊、最高でしょ
「黒蜥蜴」の完成されすぎたキャラクター性にはもう江戸川大先生に感謝してもしきれない
カリスマ・変装のマエストロ(対象は男女問わない)・トリッキーな喋り口調・一人称は僕だか私だかわからない
70年80年たっても魅力的が過ぎる
明智小五郎もにくい
大大大名探偵、明智小五郎氏
物語は黒蜥蜴とその右腕がどでかい計画に手をつけるところからはじまるので、我らはまだかまだかと名探偵を待つわけである
10代のころ黒蜥蜴を読んだときは(もしかしたら他の明智シリーズだったかもしれない)、地の文で「読者のみなさんはお分かりだろうが云々」と呼びかけられた時に「明智が語りかけてきた」と勘違いしていたことを思い出した ガロア少女、なんともアホ
明智と黒蜥蜴の応酬
黒蜥蜴は大商人の娘を誘拐するが為に明智に挑戦状を叩きつけたのだが、序盤1回目の拉致計画は失敗する
失敗というか、明智も女盗賊を捕まえ損ねたので痛み分けであった
ゆえに互いの矜恃に火がつき騙し騙されのやり取りをするわけだが、子供向けありきのインパクトのみに注視したそれではない 大人が読んでもワクワクする
「いやいや、そんなことできるわけねえだろ」とか思っちゃ野暮である ヤボヤボの実であるよ
ロマンスもバッチシ
アンダーグラウンドな世界に手を染める女盗賊と、正義を遂行し悪をとっちめる男名探偵
レベルの高い騙し合いにお互い火がついたのは、対抗心だけではなかったのである
(言い方が3流レビュー)
とうとう明智を殺してしまった黒蜥蜴は、突然の喪失感にぼろぼろと涙を流す そしてとうとう手中に収められてしまった人質、早苗嬢は自分を救うヒーローがいなくなってしまったと、絶望感に涙する
二人の女が、明智によって引き起こされた全く違う感情においおいメソメソする わたしはラストシーンよかこっちの方が心にきた
まあ明智があれで死ぬタマではないのだが
娯楽小説極まれり
江戸川乱歩は「人間椅子」然り「踊る一寸法師」然り、どっかアングラで倫理道徳を追いやった作品のイメージが強いかもしれない
でも一見して少年探偵団シリーズや明智小五郎シリーズなんかの事件があれよあれよと解決し人情溢れる展開も挟みつつの痛快物語!な作品も中々面白い(短編でいうと「灰神楽」なんかがそのノリに近いかもしれない)
関係ないけど江戸川乱歩初心者には少年探偵団シリーズは個人的にちょっと勧めにくい
地の文が講談のようなノリなので、落語やなんかに明るくないと読みづらい可能性がある
そういう人には「明智小五郎」シリーズを勧めようかな、と思っている 別に勧める予定ないけど
岡田斗司夫「あなたを天才にするスマートノート」
天才になりたかったので表記の本を読んだ Kindleで
筆者の名前にOH……となったが、存外普通のことが書いてあって安心した(普通は褒め言葉ではないのかもしれないが、褒め言葉のつもり)
最近ノート術なるものにはまっている
以前はアウトドアにはまったり、ミニマリストの生活に憧れたり、手帳にはまってほぼ日に傾倒したりしたので、まあそういう気の迷いなのだろう
現在の手帳は近所のドンキで買った500円の「スマレコ」という手帳
スマートフォンで撮影してうまいこと保存できる手帳らしいのだが、2018年も終盤なのにこの機能を活用したことはない まあそれでも十分使えている
天才とは
この本はまず「天才になるには」の前に「天才とは」の説明が入る
図で天才を細分化し説明していただいたのだが、引用はやめておく
Amazonプライム会員ならKindleで無料で読めるので、ぜひ読んでください
ノート術の仔細
筆者は、最終的に「1日見開き2ページ」に日々のアイデア、考察を綴っている
日記すらまともにかけない凡夫には、まず3行日記からスタートして〜というリハビリ方法も寄せている
この「見開き2ページ」というのが実は鬼門で、メモ魔で日記大好きなわたしは当初「いけんじゃん!」と思ったが、これ、日記を書くんじゃオカダトシオ・ノートではなくなってしまうらしい
ここに書いて良いのは「面白い発想」「連想したこと」「クリエイティブなアイデア」または「何らかの言語化」「論理的な考え」「それをプレゼンテーションする」等々
つまり「今日あったこと」じゃなくて、「今日感じたこと、考えたこと」を書く必要がある
無理だな、と思った
「ネタ帳」を持っていた自分としては
わたしは以前より、日記とは別に「ネタ帳」を持っている
ネタ帳というと、漫画や小説の構想を書いてるのかと思われるが、それだけじゃない
面白いこと、素敵な言い回し、賢そうな描写、形にしたらオモロそうなアイデア 使えそうなものは、とりあえず書きなぐっていた
A5(80P)のノートに書いていたのだが、まあ、減らない減らない
頑張っても半年に1冊使い切るかな……程度のペース
筆者のノート術だと、通常のB5ノート(60P)を見開きで1日2P、つまり29日(1ページ目と最終ページを見開き2Pとして計算しない)で1冊使い切るのだ
無理
妥協
なので、とりあえずA5ノートを見開きで使うようになった
そして片方のページには日記を書くようにして、もう片方には本に記述されているような「アイデア」また「ネタ」を書いていくことにした
かくしてガロアの天才への1歩は蛇行運転での出発となったのである