意味のない連鎖
思い出したことがあった
去年だったか、夜に電車に乗っており、仕事の疲れでウトウトとしていたら、頭の中に微弱な言葉が無数に浮かんできたときがあった
支離滅裂なそれはなにも意味をなさないようで、川の流れのような、水が低い方に流れていくようにごく自然な連鎖だった
流暢と言ってもいい、知らない文法で紡がれる言葉のような感じ
意味不明な言葉が浮かんでいることは自覚できていたが、覚醒したときにはこれらの言葉は思い出せないであろう確信もあった
案の定まったく記憶できていなかった
その時に耳に入ってきた周囲の会話であったり、気温、イスのやわらかさ、その日の出来事なんかが順番に、芋づる式に本当に些細なことまでスルスルと繋がって頭に浮かんできたのだった
止めどなく、スパークするような感覚といえば伝わるだろうか
わけのわからなさと、ごく自然な語感が同時に成立していた
その感覚は不思議で、その時の手応えを思い返そうとしているが、うまくいかない きっとこのまま忘れていくのだと思う